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2022/09/23 08:20
モノづくりは昔から好きで、いろいろなモノを作ってきたんですが、結果的に好きなのは、「自然から生まれたもの」ですね。それは、今さらながら気づきました。
自然から生まれたものって具体的に言うと、私の場合は「革」「羊毛」「リネン(麻)」などですね。あと、和紙も大好き。あなたの家のそばに、もしも和紙を作っているところがあったら、それはすごくラッキーなことです。私だったら狂喜乱舞します。和紙は日本が誇る素晴らしい工芸美術です。そして、日常に使えること。このショップでも、和紙と革、羊毛などをコラボさせて何か作ってみたいなと思っています。
さて、自然から生まれたモノについて。天然素材と言ってもいいかな。革はいろいろあるけれど、私が使っているのはおもに牛革と、たまに豚革。豚革はスエードです。
牛革も豚革も、私たちが食用としていただいた残りの革を使っています。だから、エコでもあります。そう、立派なエコ。今はSDGsって言ったほうがいいのかな。
「革を使うのはかわいそう」って思う人がいるかもしれないけれど、毛皮はね、ダメです。だって、無理矢理はがしたものだから、生き物がかわいそう。でも、いわゆるバッグとかお財布とかに使われる革は、私たちが牛肉や豚肉を食べている限り、どうしても出るものです。それを大事に使わせていただくのが、私の仕事。だから、革を使うときは牛さんや豚さんのことを考えて制作しています。
革の仕事を始めてから、革に感謝するようになりました。それ以前はね、「革の匂いっていいな」とか「革はやっぱり好きだな」ぐらいの気持ちでした。まあ、たいがいの人が同じようなものだと思います。
それがね、革を使ってモノづくりをするようになってから、自分の心の中に「感謝」の気持ちが芽生えているのに気づきました。いつの間にか、なんですけどね。
おそらく、革の仕事をしている人は、はっきりとは自覚しなくても、似たような気持ちなんじゃないかと思います。感謝とか、あと、今ふうに言ったら「リスペクト」の気持ちかな。
この前終わった日曜劇場の「オールドルーキー」っていうドラマ、観てた人いますか?その中で、「この会社の精神って、アスリートに対してリスペクトの気持ちを持つってことですよね?」と、毎回のように綾野剛が叫んでいました。私はそれを聞きながら、「はい、私は革に対してリスペクトの心を持っていますよ」と心の中で答えていました。綾野剛にはピンとこない答えだったでしょうね。いやその前に聞こえてないか。
あとは、羊毛ですね。羊毛は当たり前だけど、羊さんからもらっている毛です。誰でも一度はテレビなどで見たことがある、羊の毛を刈る作業。あれが羊毛です。その羊毛をきれいにしたものを、私が紡いで糸にして、さらに編んで何かを作っています。この作業もひじょーーーに心地よい!こんな気持ちのよい作業を独り占めするなんてもったいない!っていつも思っています。
羊毛を紡ぎ機で紡ぐ作業は、まさに地球と一体化しているというか、自分のペースで淡々と糸紡ぎの車を足踏みしながら回して、スーっと糸ができていくって、本当に癒しの効果があります。何か悩んでいる人は、糸紡ぎをやってみるといいですよ。自然の世界で癒されていくのがわかります。
そんなこんなで、自然の中から生まれたモノに囲まれてやる作業って素晴らしい。感謝やリスペクトの気持ちを持ちながら仕事できるって、最高だなと思います。
そんな最高の気持ちから生まれた数々のモノが、一人でも多くの人に届くことを願っています。モノづくりには作り手の気持ちも入っているからね。だから、幸せな気持ちも一緒に届けられるはず。そう信じて、毎日制作に励んでいます。